頭の中に種をまく

その時々に読んだもの、見たもの、聞いたものについて考え、紹介します。

ORを学ぶための最初の一冊 - 書評: 大村平『ORのはなし』

いろいろな機会にOR(オペレーションズ・リサーチ)の技法を学んだことはありましたが、ORの参考書などで学んだことはなかったので、どういう分野があるのかと興味があって読んでみました。


内容はあまり難しくはありませんが、社会のいろいろな現象を数学的に解析するための心構えができるという点で、とても勧められる一冊だと思いました。本書中では初歩的な数学だけしか使われていないので、数学があまり苦手でなければ、高校生でも問題なく読みこなせるでしょう。その上、語り口が軽妙で、面白くて一気に読み進んでしまいました。大まかに理解するだけなら2-3時間で一通り読めると思います。


しかも、ORの主要な分野はおおむね網羅しています。巡回セールスマンの問題や在庫管理などは、仕事にすぐに活用できるものでしょう。もちろん、ごく初歩的な部分のみの紹介で、あまり複雑な問題には取り組んでいません。しかし、そうであるからこそ応用性の高い知識ばかりが紹介されているとも言えます。


ORの最初の参考書として選んで正解でした。仕事をほんの少しでも数学的に、論理的に、あるいは大局的に捉えたいと思っているけれど、本格的にORや数学の勉強を始めるのは気が引けるという人には、うってつけの一冊です。

 

 

ORのはなし―意思決定のテクニック

ORのはなし―意思決定のテクニック