ストレスを自分の問題として捉えること - 書評: 見波利幸『心が折れる職場』
見波利幸の『心が折れる職場』を読みました。
ストレスに悩む知人から、自分の状態を理解するのに役立ったと勧められました。メンタルヘルスケアに関心があったので、せっかくの機会だからと読んでみました。
内容としては、メンタルヘルスケアの具体的な内容に触れる一歩手前で、「なぜメンタルヘルスケアが必要か」ということを説いています。ある程度の知識がある人にとっては物足りないかもしれませんが、最初の一冊としては大変よいと思います。
仕事のせいで鬱になってしまう原因として、著者は、潜在的な能力不足の意識を重要視しているようです。この視点は私にはあまりありませんでしたが、言われてみればなるほどと思えるものでした。これは本人が自覚し言い出さない限りは職場として対処することが難しいので、解決が非常に困難な問題に思います。それに、あまり仕事のレベルが高すぎるとストレスになってしまうからといって、簡単な仕事ばかり用意していたのでは向上心のある人には物足りないでしょうし、なにより企業として立ち行かなくなってしまいます。企業がストレスを職場の問題と認識して解消に取り組むのと同時に、働く個々人も、自分のストレスをきちんと見つめる勇気をもつことが必要である。そう思わせてくれる一冊でした。