頭の中に種をまく

その時々に読んだもの、見たもの、聞いたものについて考え、紹介します。

世界の今を知る - 書評: ハンス・ロスリング『ファクトフルネス』

ハンス・ロスリングの『ファクトフルネス』を読みました。


私は一時期国際協力に興味があり、いろいろと勉強していました。この本には世界の今の姿をどのくらい正確に理解しているかというテストがあって、著者が出題した限りでは、全問正解した人はいなかったそうです。私も13問のうち、正解は10問でした。平均的には正答率は1-2割程度のようで、それに比べればよくできたのでしょうが、一見して「当然知っているべき」と思えるような問題ばかりで、それを知らないでいる(正答が多かったのも知っていたからではなく、考えて答えてたまたま合っていただけです)ということを、恥ずかしく思いました。


世界はよくなっているというのが主要なメッセージではありますが、私が得た感想は、「それでも世界はまだまだよい場所ではない」というものです。生活のレベルを一日あたりの収入に応じて4段階に分けており、最も貧しいレベル1には8億人くらいが属しています。(日本人の多くが属する)レベル4から見ればレベル1から3までが一様に貧しいが、実際にはこれら三者の間には大きな隔たりがあるということが論じられています。それは確かにそうなのでしょう。しかし、だからといってレベル2や3の生活で十分ということにはなりません。


そしてより強く感じたのは、レベル4の収入があっても、それは必ずしも幸せと同義ではないということです。所得とか健康といった観点からは、世界はきっとよくなっている。けれども、それは幸福の十分条件ではありませんし、必要条件でもないと思います。


本書で紹介されている10の視点によって、よりよい生き方を考えていければと思います。


なお、著者によるDollar Streetという面白い取り組みがあります。各レベルの人びとの暮らしを、写真によって紹介するものです。
本書に興味があれば、まず覗いてみるとよいです。


https://www.gapminder.org/dollar-street/

 

 

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣