頭の中に種をまく

その時々に読んだもの、見たもの、聞いたものについて考え、紹介します。

文学

想像力の源泉としての神話 - 書評: 後藤明『世界神話学入門』

後藤明の『世界神話学入門』を読みました。 世界の神話はゴンドワナ型神話群とローラシア型神話群という二つの系統に大別され、とくにローラシア型神話群にはプロットに一定の法則性が観察されるという、大変にスケールの大きな仮説が紹介されています。プロ…

文学が現実に対してもつ力

出身学科の教授が一人退官され、公開の最終講義が行われたので、久しぶりに大学に行きました。私は文学部の出身です。文学といえば、世間からすると、世の中の役に立たないもの、就職するにしてもつぶしの効かないものと考えられているでしょう。出身者とし…

人はなぜ恐怖を楽しむことができるのか? - 書評: 戸田山和久『恐怖の哲学』

戸田山和久の『恐怖の哲学』を読みました。 著者は哲学に関する最新の話題を色々な書籍で分かりやすく紹介しています。『哲学入門』はとくにお勧めです。 書評: 戸田山和久『哲学入門』 (1) - 頭の中に種をまく さて、本書は恐怖をテーマとしつつも議論が多…

意志の姿勢を正すこと - 詩: 伊藤静雄「わがひとに与ふる哀歌」

何か思い通りにいかないことがあったときに――とくに、人との関係でうまくいかないことがあったときに――しばしば心に浮かび、気持ちを切り替えさせてくれる詩があります。伊藤静雄の「わがひとに与ふる哀歌」という詩です。以下に引用します。 わがひとに与ふ…