頭の中に種をまく

その時々に読んだもの、見たもの、聞いたものについて考え、紹介します。

2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ストレスを自分の問題として捉えること - 書評: 見波利幸『心が折れる職場』

見波利幸の『心が折れる職場』を読みました。 ストレスに悩む知人から、自分の状態を理解するのに役立ったと勧められました。メンタルヘルスケアに関心があったので、せっかくの機会だからと読んでみました。 内容としては、メンタルヘルスケアの具体的な内…

宇宙の構造についての最新の研究成果を知る - 書評: 松原隆彦『図解宇宙のかたち』

松原隆彦の『図解宇宙のかたち』を読みました。 宇宙の大規模構造について、美しい図をふんだんに使ってわかりやすく説明しています。わかりやすくとは言っても、物理学の最先端の内容ですから、もともとかなりの知識をもっていないと完全に理解することは難…

生き方の表現としての場所 - 書評: 三浦展『100万円で家を買い、週3日働く』

三浦展の『100万円で家を買い、週3日働く』を読みました。 4章から構成されていますが、とくに第1章を大変興味深く読みました。そこでは、7人の実験的な生き方が描かれています。離島に移り住んで、古い家屋をリノベーションしながら町に活気を与える女性。…

文学が現実に対してもつ力

出身学科の教授が一人退官され、公開の最終講義が行われたので、久しぶりに大学に行きました。私は文学部の出身です。文学といえば、世間からすると、世の中の役に立たないもの、就職するにしてもつぶしの効かないものと考えられているでしょう。出身者とし…

自分らしくあるために個を尊重する - 書評: 菅野仁『友だち幻想』

菅野仁の『友だち幻想』を読みました。 流行っていたのでてっきり最近の本だと思っていたのですが、10年以上前に書かれたもので、著者はすでに亡くなっていたのですね。 相手のことをすべて理解し受け容れられるような人間関係は幻想にすぎず、それを追い求…

障害を障害でなくしていくこと - 書評: 菊池良和『吃音の世界』

菊池良和の『吃音の世界』を読みました。 私は吃音をもっているわけではありませんが、言葉が出にくいことはあります。文章を書くことは嫌いでありませんが、小さいころは、人前で話すことが苦手でした。成長してからはむしろ大勢の前で話すことを楽しめるよ…

少しだけ自由になるための対話の方法 - 書評: 梶谷真司『考えるとはどういうことか』

梶谷真司の『考えるとはどういうことか』を読みました。 この本では、考えるための手段として、哲学対話という営みが紹介されています。具体的な方法はいろいろとありえるのでしょうが、著者は以下のようなルールを推奨しています。 ①何を言ってもいい。②人…