頭の中に種をまく

その時々に読んだもの、見たもの、聞いたものについて考え、紹介します。

石川理紀之助生誕の地でその克己の生涯に思いを馳せる

十年近く、ずっと秋田を訪問したいと思っていたのですが、これまでその機会がありませんでした。ところが、転職してすぐ、不意にその機会をえることができ、いままさにその地にいます。


なぜ秋田を訪問したかったかというと、そこが石川理紀之助の生地だったからです。


石川理紀之助という人は、世間ではあまり知られていないかもしれませんが、私は学生のころに縁あってその伝記を読み、大変感銘を受けました。


石川理紀之助は明治期に、農業の発展のためにみをつくして働いた人で、秋田にとどまらず、全国各地を行脚して回り、多くの弟子を育て、多くの農民を窮乏から救いました。その農業経営改善の方策は、必ずしも優しいものではありませんでした。たとえば彼は、毎朝二時に起きて、副業の工芸などをすることを勧めており、支援にあたった土地では実際にそれを現地の農民とともに実践しています。


最も印象的なエピソードは、自身の農業経営方法が万人にとって有用であること、つまり、どんなに貧しい農民であっても実行しうるものであることを示すために、老馬一頭とわずかな食料とのみをもって森に入り、自ら土地を開墾して一人生活するというほどの実践をしています。そしてその取り組みは瞬く間に規模を拡大し、数年後には、人を雇う雇って耕作させるほどになっていました。


石川理紀之助の生涯を紹介する書籍はいくつかあります。その強く美しい生き方に興味があれば、ご覧になってはいかがでしょうか。

 

 

日本老農伝

日本老農伝

 

 

農聖 石川理紀之助の生涯

農聖 石川理紀之助の生涯