頭の中に種をまく

その時々に読んだもの、見たもの、聞いたものについて考え、紹介します。

電車の中の疲れ切った顔

私は地方の出身なので、子どものころに、関東では県境をまたいで二時間も三時間もかけて東京に勤務している人が大勢いると聞いたときには、どうしてそんな苦労をしてまで東京に出ていくのかと、不思議でなりませんでした。自分がその一人になるとは、因果なものです。


さて、高校生のころにも電車で通学していたので、電車通勤自体には慣れていないわけではありません。それでも、長時間の通勤をする人たちに囲まれて驚くのは、あまりに覇気のない人が多いということです。時間をかけてまで東京で働くという選択をしたのに、仕事がつまらないのでしょうか。だったら、どうしてもっと家に近いところで働かないのでしょうか。こうした疑問をいだかずにはいられませんでした。


ただ、しばらくこの生活を続けてみて、そうした人たちの境遇も分かるようになってきました。私自身も、無邪気な子どもの目から見たら、ひどく疲れた顔をしているのかもしれません。仕事がやりがいのあるものであっても、早朝に家を出て、夜遅くに帰ってくる日々がつづけば、仕事の内容にかかわらず疲れてしまうでしょう。


それでも、せっかく楽しい仕事をしているのに、人から疲れていると思われては面白くありません。いつも、目を輝かせて生きたいものです。