頭の中に種をまく

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データサイエンスを学ぶための最初の一歩 - 書評: 竹村彰通『データサイエンス入門』

データサイエンスというものの全体像を見渡したくて呼んでみました。私は統計学の勉強は多少してきましたし、それを仕事などで活用してもいます。しかし、データサイエンティストと呼ばれるほどの技能はもちません。

 

本書によれば、データサイエンスには「データ処理」「データ分析」「価値創造」の3要素があるそうです。私の場合は、「データ分析」は多少できるとしても、「データ処理」と「価値創造」の部分の知識が不足しているようです。これは、こうした知識を優先的に学んでいけばよいという指針をえられたという点で、大変ありがたい発見でした。

 

本書はデータサイエンスの概要を説明してはいますが、その具体的な知識にはほとんど触れられていません。統計学の基本的な概念についての説明などもありますが、これは一度別の手段で統計学を学んだことのある人でなければ理解できないでしょうし、この本で理解するよりは、別のもっと詳しく分かりやすく書かれている本を読んだ方がよいです。その意味では、いわゆる「明日から使える」ような知識を求めている人にとっては、役に立たないでしょう。

 

一方、ある程度の統計や情報学の知識があって、そしてデータサイエンスという領域に足を踏み入れたいと望んでいる(私のような)人にとっては、ちょうどよい一冊だと思います。

 

データサイエンス入門 (岩波新書)

データサイエンス入門 (岩波新書)