頭の中に種をまく

その時々に読んだもの、見たもの、聞いたものについて考え、紹介します。

他人に対する想像力をどこまで広げていけるか?

いま、空港へのバスの中です。二十年来の友人の結婚式に向かうためです。台風の接近のため、飛行機が無事飛ぶかと心配していましたが、今のところは平気そうです。

 

それにしても、普段はたとえ自分の住む地域に台風が向かっていても、家が飛ばされることはあるまいなど、鷹揚に構えていたのですが、このようなイベントのある時にだけ心配するのですから、我ながら現金なものです。

 

しかし今回は、友人の結婚式以外にも、台風の影響を心配する理由がありました。最近の豪雨の被害を受けた地域の方々は、気が気でないものと想像します。私の知人には、被害を危うく逃れたという人はいても、実際になにかしら損害を受けた人はいません。言ってみれば、この豪雨も他人事です。それは、どこか遠い国で起きている戦争とか飢饉とかと、理屈の上では大した違いはありません。

 

しかし、今回のように、何らかのきっかけによって、そうした他人事を、他人事ながらに心配するようになるということもあります。そして、他人事の解決に、それがあたかも自分のことであるかのように取り組める人間になりたいというのが、まだ学生だったころに望んでいたことであり――いま、新しい仕事を始めようとする理由の一つでもあります。

 

すべての人のことを想うことは不可能です。それでも、たとえ地球の裏側であっても、世界で起こる諸々の出来事によって、一喜一憂している人々がいるのだということを忘れずにいつつ、自分の手の届く範囲でできる限りのことができればと思います。