頭の中に種をまく

その時々に読んだもの、見たもの、聞いたものについて考え、紹介します。

人智の及ばない知能を人間がつくるということ

最近よくAIが世の中をどう変えるかということを人と話します。たくさんの仕事がAIで代替されるようになるかもしれないとか、経済効果がどのくらいかとかいったことがテーマになりますが、私はこうした問題にはあまり関心がありません。それよりは、AIがシンギュラリティに達したとして、それがどのように、我々のもっている知能とか、感情とか、合理性といったものの概念と観念とを変えるかを見たいと切に願っています。

 

人工知能がはたして人間の知能を完全に包摂するようなものとして進化するのか、それとも、人間の知能とは異なる機構で機能するのか。人工知能は完全には計算し尽くせない事象に対して、どのように判断と決断とを下すのか。人工知能の判断を人間が理解できるのか。こうしたことを観察・観測することで、人間がそれまでに知りえなかった多くの事象が眼前に立ち現れてくるものと思います。その世界は、たとえばダリやピカソの絵の中のように、想像と理解とを超えたもののはずです。

 

もちろん、人工知能の反逆といったことを心配する気持ちもわかりますし、そうしたリスクをなくすための議論は十分になされるべきでしょう。そうしたリスクがあっても、――それはおそらくリスクを知りながらも飛び立つ宇宙飛行士も同じ気持ちでないかと思いますが――新しい世界を垣間見ることには、抑えがたい衝動を感じてしまうのです。