頭の中に種をまく

その時々に読んだもの、見たもの、聞いたものについて考え、紹介します。

2018-01-01から1年間の記事一覧

文章を寝かせて推敲する

今の職場での最後の日が近づいてきました。今日は、取引先へ退職を知らせる文書を作りました。海外営業の仕事をしているので、直接の顧客はすべて海外の企業です。日本と比べれば転職が頻繁な国が多いので、私が退職するからといって、今後の取引に影響がで…

意志の姿勢を正すこと - 詩: 伊藤静雄「わがひとに与ふる哀歌」

何か思い通りにいかないことがあったときに――とくに、人との関係でうまくいかないことがあったときに――しばしば心に浮かび、気持ちを切り替えさせてくれる詩があります。伊藤静雄の「わがひとに与ふる哀歌」という詩です。以下に引用します。 わがひとに与ふ…

発信のための英単語を学ぶアプリ - ドコモゼミボキャブラキング

英単語を覚えるためのアプリは世の中にいろいろとありますが、私は『ドコモゼミボキャブラキング』というものが気に入っています。ゲームとしてあまりストレスを溜めずに続けられること、 能動的に使える語彙を増やすことに効果があることの2点が主な理由で…

よりよい睡眠を手に入れるための手軽な二つの方法

私はよく夜眠れるほうですが、それでもときには目が冴えて眠れないこともあります。とくに子どもが生まれて自由になる時間が減ってからは、少しでもよく休み、一日をより充実したものとできるよう、眠りの質が気になるようになりました。 そこで、睡眠改善の…

Emotional Intelligenceを高めるための3ステップ

少し前からEmotional Intelligence (心の知能指数)というものに興味があり、多少本を読んだりもしていたのですが、Harvard Business Reviewのウェブサイトにて、EIをどのように高めるかということを簡潔に説明した記事を見つけました。 Daniel Golemanおよび…

西洋美術史をマーケティングする - 書評: 木村泰司『世界のビジネスエリートが身につける教養西洋美術史』

少し前に話題になっていた、木村泰司の『世界のビジネスエリートが身につける教養西洋美術史』を読みました。西洋美術史の本はずいぶん前にではありましたが何冊かすでに読んだことがあったので、半ば復習のようなつもりだったのですが、聞いたことがないと…

言葉による誤解を覚悟すること

最近、勤め先の社長が、全社員を前にして、「会社の変化や理念に納得できない人がいることは当然だし、そうした人たちが退職することはやむをえない」という発言をしました。私自身は、自分がまさに退職しようとしているからということももちろんありますが…

発音を間違って覚えてしまった英単語

日本語には多くの英単語がカタカナとして入っていることもあって、日本語話者が英単語を覚えるのに一定のメリットがある一方で、実際には通じない発音を覚えてしまっていることも多々あります。 私が最近まで発音を間違って覚えていた単語として真っ先に思い…

銃を突きつけられたとき何と言われれば安心か

前回、「動いたら撃つぞ」と言われて動かなかったとしても、「論理学的には」撃たれる可能性がないわけではない、といったことを書きました。それでは、どういう表現だったらよいのでしょうか。 銃を向けられて脅かされている側としては、確実に撃たれないと…

「動いたら撃つぞ」と言われた場合にどうするべきか

どこでだったか忘れてしまいましたが、「Don't move, or I'll shoot.」と「動いたら撃つぞ」というのは論理的に等値であると述べる文を読んだことがあります。これは確かにそうでしょう。この両者が偽となるのは、発言者の立場からだと、「相手が動いて」、…

海外出張のための最低限の荷物

私は仕事柄、よく海外に出張に行くことがありました。長いときでは3週間くらい出張にでていたのですが、1週間であろうが3週間であろうが、荷物の量はほとんど同じで、機内に持ち込みのできるサイズのキャリーバッグと手荷物を入れるバッグとだけでした。準備…

自由になることと持ち物を減らすこと

持ち物を減らしたい、という思いをここ数年、いや十数年、ずっと持ち続けているような気がします。私は人と比べてそんなに持ち物が多い人ではありません。服や食器といった日常的に使うものは、むしろかなり少ないほうだと思います。それでも、ものを捨てた…

Audibleのコイン制化はユーザー離れを引き起こすか?

私はAudibleをほぼ毎日使っています。本当は紙の本のほうがいいのですが、車を運転しながらや料理をしながらなど、頭はあまり使っていないけれども手と目を使うことはできない、という場面は多々あります。こういう時間を、Audibleであればより有効に使えま…

医学の初歩の初歩を学んだ気分になる - 書評: 茨木保『人体の不思議』

書店でたまたま見かけて興味をもち、茨木保の『人体の不思議』を読んでみました。医学系の簡単な入門書に目を通してみたいという思いだけはずいぶん前からもっていたものの、他の興味の前になかなか具体的な行動に起こさずにいました。そうした中で、この本…

塵が積もって本当に山になるか? - 暗記の目標を達成するための計画づくり

語彙の大きさは、外国語ができるようになったと言える目安のもっとも分かりやすいものだと思います。たとえば1000語とか、4000語とかといった数の単語を学習し、記憶したら一段落とするといった具合に、目標としても設定しやすいです。 ところで、たとえば40…

toPhoneticsで英語の発音をブラッシュアップ

世間では発音が難しい言語の代表としてフランス語が挙げられますが、これはまったくの誤解だと思います。フランス語では、基本的にはつづりをルール通りに発音すればよく、アクセントも各単語の最後の音節にあります。リエゾン等の現象はありますが、単語の…

Evernoteを使ってMOOCでの学習効率を高める

私はいまほとんどの勉強の記録をEvernoteに残しています。Evernoteの優れたところはその検索性能で、テキストはもちろんですが、画像ファイル中の文字もかなりの精度で正しく認識してくれます。 さて、学習のためのツールは様々にありますが、最近私はよくMO…

無限等比級数を計算してはみたものの

私は数学が好きで、社会人になってからもときどき勉強しています。得意というわけではないので、専門的な本には立ち向かっていけないのですが、とくに統計のような実践的な分野については、大抵のことはとくに問題なく応用できるつもりでいます。 さて、最近…

資料整理のジレンマ

資料をどのように整理するのが最適かということは、永遠の問題でしょう。新しい技術やツールが登場して、それが便利であるからと手法を切り替えるたびに、資料の整理の仕方にどうしてもいくらかのギャップが生じます。仕事の引継ぎのために資料をまとめてい…

人に夢を与える仕事

いま、退職の理由をいろいろな人に説明する日々を送っていますが、自分なりに納得のいく説明をすることはなかなかできていないと感じています。じっくりと話す時間があれば、思っていることの大半は説明できる。でも、ごく短い時間で――極端には一言で――説明…

人を改めて知る場としての結婚式

結婚式や披露宴というものは、消費するエネルギーの量を考えると、やらないほうがよいのではないかと思ってしまうのですが、いざ出席してみると、なかなかに感慨深いものです。とくに思うのは、私はその新郎の、または新婦のことを、知っているようでいて実…

他人に対する想像力をどこまで広げていけるか?

いま、空港へのバスの中です。二十年来の友人の結婚式に向かうためです。台風の接近のため、飛行機が無事飛ぶかと心配していましたが、今のところは平気そうです。 それにしても、普段はたとえ自分の住む地域に台風が向かっていても、家が飛ばされることはあ…

変化に慣れるのか、変化しないことに慣れないのか

今日、会社の後輩に誘われて、一緒に食事をしました。転職のことについていろいろと質問され、答えたのですが、その中で自分自身についての発見がありました。 私は、環境の変化に馴染みやすいという長所をもっていると思っていました。これは確かに一般的に…

企業が理念を掲げる意味 - 書評: 山口周『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』

哲学と美術史学との素養のあるコンサルタントによる、なぜ経営に美意識が必要かということを論じた本です。議論は非常に明解で、議論の一部を要約すると以下のようになるかと思います。 経営には、クラフト、サイエンス、アートの三つの要素が関わります。ク…

先進国の文化人類学的研究 - ドイツ映画『はじめてのおもてなし』

お題「最近見た映画」 『はじめてのおもてなし』というドイツ映画を見ました。原題は『Willkommen bei den Hartmanns』、ハートマン家へようこそということなのですが、現代ドイツのやや上流くらいの家族が、ナイジェリアからの難民の青年を家に受け入れたこ…

退職が社内で公表された日

今日、私の退職が社内で正式に発表されました。イントラネットに人事通達が載ることで発表がなされるので、気づくタイミングは人により違います。私には当然誰が知っていて誰が知らないのかわかりません。みな気づいていないようでいて、本当は気づいていな…

一日を始めるためのひと手間

お題「コーヒー」 最近は入眠儀式としてブログに何か書くようになりましたが(そして途中で寝てしまうことがしばしばですが)、起床後にもほぼ必ずすることがあります。 私は普段は朝四時から五時の間に起きて、家族が起きてくるまでの時間を自分自身への投…

死ぬ直前まで仕事をし続けるための決断

定年退職という仕組みはいつまで存在し続けるでしょうか。もしかしたら、近い将来に、定年というものを設けない組織が多数を占めるようになるかもしれません。それでも、知力体力の衰えを考えると、仮に定年がないとしても、企業が高齢の人々を雇用し続ける…

退職届という儀式は必要か

最近、退職届を書きました。 初めてのことなのでどうしたものかと思い、ネットで調べて見よう見まねで作りました。冠婚葬祭なども含めて、こうした儀礼的な手続きでいつも不思議に思うのは、退職届のような書式が指定されていないものにすら、現実には、よし…

アルコールのある日常

私はほとんどアルコールを飲みません。理由はいくつかあります。 第一に、心理的な要因としては、アルコールのために大変な失敗をした人が身近にいたために警戒心が拭えないということがあります。同じような失敗をしたくないという思いから、酔うということ…